前衛デッキ考察

まえがき

 前衛デッキ構築記事がいまだにアクセスされていますが、内容が古くて現環境と合ってません。リライトしたいと思いつつも体系的に整理しようとすると手が進まなくて置き去りになってます。ただ本質的な部分は環境とは関係ないので今回はその部分に焦点をあてて整理してみます。

デッキ構成要素

 デッキの構成要素を分解してみます。

  • 本隊長
    • 系統1
    • 系統2
    • (系統3)
  • その他
  • 前スキル
    • 宵闇(防御)
    • 天破衝(火力)
    • 以心・音色(サポート)
  • 補助
    • 火力補助
      • 汎用(天下・古今など)
      • 専用
        • 常時(快勝・臥薪など)
        • 確率(常勝・不撓など)
    • ステ補助
      • 知勇(攻・知攻)
      • 忠義・三河・賜物(HP)
    • マウント補助
    • コンプラ補助
    • 全前補助
      • 上げ(七転び・嚢中など)
      • 下げ(龍驤など)

 デッキの軸は本隊長です。多極化が進んでいるとは言ってもデッキが単系統になることはなくて2~3系統の混在デッキになっている筈です。カードが揃っていないうちは4系統混在もあると思いますが、カードが揃うにつれて系統の絞り込みが必要になります。補助は大きく分けると火力・ステ・マウント・コンプラ・全前、これらはルールによって有用度合いが変わります。通常なら全前補助は不要で、コンプラも朝虹なら不要です。ここで大事なのは専用補助の存在。これらは他系統のスキルにも効果はありますが低倍率になってしまいます。また発動率も低く設定されているのでこれらを多く積む際には補助枠を多く使用してしまいます。

絞り込みが必要な理由

 前衛デッキ記事の引用。

但し、冥応・大自在天を保持している場合は低発動率の補助で本隊長スキルと相性の悪い補助は寧ろ外してしまった方が良いかもしれません。例えば、勇猛デッキにおける覚悟・不退転。最大倍率は非常に高いのですがそもそもHP1という状態があり得ません。低発動率高倍率の補助、飛禽や誘爆などが増えてきた事を考えると、これらの補助を拾ってもらう為にも低発動率で本隊長スキルと相性の悪い補助は外してしまった方が良いと考えられます。

 低発動高倍率補助を並べてみましょう。

  • 汎用:飛禽・誘爆・一念・難中・大馬・軍学・練熟・精練
  • 敵中:覚悟・不退転・不尽・鋭刃
  • 勇猛:勇烈・蛮勇・鋭鋒
  • 与退却:常勝
  • 被退却:不撓・死装束
  • 回数:千手

 覚悟・不退転・勇烈・蛮勇の効果範囲は汎用ですが上記引用の通りどの状態をベースに捉えるかで価値が変動するので専用補助に分類。この中で継承可能なスキルを除いてみましょう。

  • 汎用:飛禽・誘爆・一念・難中・大馬・軍学
  • 敵中:不退転・不尽・鋭刃
  • 勇猛:蛮勇・鋭鋒
  • 与退却:常勝
  • 被退却:不撓・死装束
  • 回数:千手

 再判定スキルは冥応・自在天・天部の3種。汎用だけでも6種もあります。これだけの数があることを考えると、最低でも本隊長スキルにあっていない専用補助はデッキから外すことを検討すべきです。

前衛デッキの変遷

 前衛の成長に合わせたデッキの組み方は以下の流れになると思います。

  • 初級:強いカードをどんどん組み込んでいく
  • 中級:ルールに合わせて系統を組み換え
  • 上級:自身の得意系統を軸にルールに合わせて調整
  • 特級(トーナメント級):ルールに合わせて系統を組み替え

 多極化が進んでいる現環境で全系統を満遍なく強化していくのは効率的ではありません。成長途中の前衛がまず初めに躓くポイントはここです。何を強化していくべきかを決めずに手当たり次第にカードを集めてしまい伸び悩みます。

 系統を絞り込んで強化を進めていってもある程度までは戦略に沿ったデッキのほうが強いです。ここが二つめの躓きポイント。系統を絞っても他系統で活躍している人を見たりして自分が強化している系統に自信を持てなくなってしまい、他の系統に手を伸ばしてしまいます。

 カードがとんでもない速度で追加されていくので通常のガチャだけでカードを重ねていくのは困難。そのため必要なカードの殆どは将星で交換していくことになります。そして系統を絞って交換していくことで得意系統と苦手系統の差が生まれてくるのでどこかのタイミングでルールに合わせたデッキよりも得意系統のデッキの方が強くなります。最終的にはどの系統でも十分に通用するので流されずに突き進むのが大切だと思います。

将星の使い道:補助or攻撃

 系統特化の強さを体感できるのは流星・伝家などの24極意以上のスキルを入手してからです。現環境ならコスト25の4凸極意以上。火力を出すためには補助も必要ですが、ある程度揃ってくると最優先は攻撃スキルの方が上になります。例えばこんな比較。

※数値は適当です。

  • 日輪:威力100
  • 伝家:威力300 ※3発
  • 誘爆:5倍加算
  • その他補助:20倍

 この前提で日輪20発保有している状態から誘爆と伝家どちらを取得したほうが火力が上がるかを考えてみます。

  • スキル取得前:100×20×20=40,000
  • 誘爆取得:100×(20+5)×20=50,000
  • 伝家取得:(100×20×20)+(300×20×3)=58,000

 このケースだとどちらを取得しても大差ありません。その他補助の倍率を増減させて考えてみます。面倒なので結果だけ書くと、倍率が高い場合は「伝家>誘爆」、低い場合は「誘爆>伝家」となります。日輪の弾数が増えると「誘爆>伝家」、減ると「伝家>誘爆」になります。

 ここでもう一つ大事な要素を考えます。巌流です。上記の数値に巌流を加算してみます。

  • スキル取得前:100×20×20=40,000+(100×20×2)=44,000
  • 誘爆取得:100×(20+5)×20=50,000+(100×25×2)=55,000
  • 伝家取得:(100×20×20)+(300×20×3)=58,000+(300×20×2)=70,000

 伝家取得が大きく差を付けているのが分かります。補助優先でスキルを集めていくのは間違いではありませんが、ある程度揃ってくると補助ひとつの与える影響は小さくなってきます。対して強力な攻撃スキルは計算上のベース値になるので一撃の最大を引き上げることになり、更に総火力の向上にも繋がります。なのである程度揃ってきたら補助よりも前衛スキルを優先して取得するほうが効果を体感しやすいです。先述した躓きの理由はここで、補助優先で折角入手したけど入手前後の差を感じにくくなり成長を実感できず方向性があっているのかに不安を感じます。

 ここで問題になるのはある程度って具体的にどれくらいなのか。これは複数要素が絡んでくるので基準設定が難しいです。仮に基準を作るならコスト24までの秘技で取得可能な補助が揃うまでは補助優先、そこまで揃ったら攻撃スキル優先でいいと思います。或いは新しい補助を取ったけどあんまり変わった気がしないと感じるようであれば攻撃スキル取得に切り替えるタイミングだと思います。

基準ラインを作る

 例えば補助の発動率は常時系を除いてどれだけ積んでも100%になることはありえません。なるべく発動するようにと思って積んでいくと補助枠を圧迫します。また火力補助の数が増えるほどに基準ステ(知勇)の影響度が大きくなります。これって実は将星のところで書いていることに似ています。ただし、ひと枠の価値で比べると知勇は攻撃スキルほどの体感がし難いので将星で書いた内容よりも判断が難しい。統計学に明るければなんらかの指標を出せるかもしれませんが多くの人はそんなのわからないし、私自身も全く分かりません。なので適当に基準を決めてしまいます。例えば私がデッキを作る際に使っている基準はこんな感じです。

※あくまでも一例です。戦略に応じて細かく微調整しています。

  • 標準

    • 火力補助:80%
    • コンプラ補助:70%
    • 宵闇:150発
    • 優先順3位の系統は常時発動以外の専用補助は積まない
    • 余り枠は知勇で埋める
  • 遊撃

    • 宵闇:100発
    • 天破精練追加
    • 天破衝:20発以上 ※宵闇の数は削らない

 重要なのはどこまで積めば終わりにするかです。最適なバランスは人によって違います。

  • 火力補助をひとつ抜いて知勇に変えてみる。
  • 火力補助をふたつ抜いて知勇に変えてみる.
  • 火力補助の発動率を90%にしてみる。
  • 火力補助の発動率を85%にしてみる。

 など、調整を繰り返して行くことで最適なバランスが見えてきます。ありがちなミスは人のデッキのバランスをそのまま真似してしまう事です。補助の数だけ似せても攻撃スキルが違っていればバランスは変わります。また系統によっても変わってきます。なので他の人のデッキはあくまでも参考値としてみるのが良いです。

どの系統を選ぶべきか

 好みです。火力面では敵中系が頭一つ抜けていますが、勇猛・与退却・被退却・回数の4系統に関しては大きな差はないと思います。敵中・勇猛は回数(時間)に依存しませんが、猛追や鉄砲による妨害に弱いです。与退却・被退却・回数は最大効果を出すためには回数(時間)が必要ですが、猛追や鉄砲による妨害を受けないのが強み。組み合わせに関しても相性の良し悪しはありますが、組み方を工夫することでどの系統の組み合わせも可能です。例えば相性の悪い被退却と与退却も輪廻さえ装備しなければ共存可能です。以前は相性最悪だった敵中と勇猛も現環境では相性良好です。

 大別すると「敵中+被退却+α」「勇猛+与退却+α」に落ち着くと思います。雷霆や紫黒のような強力なスキルが合成可能なので敢えてこの組み合わせを避ける理由もないです。

 どの系統を伸ばすか決めかねている状態なら回数系をお勧めします。25信玄の極意未開放なので最大火力の程度がわかりませんが、合成可能なスキルだけでも火力は十分、相性の悪い系統もない上に全ルールに対応できる高い汎用性を持っているので、後々メイン系統を決めた際に無駄になりません。

あとがき

 戦略に関しても同じことが言えますが「ずっと同じ」ではないです。カードが足りないうちはどんどん足していくだけでいいのですが、カードが潤沢になるほどに切り捨てていくことが必要になります。現環境はコスト25のスキルが強過ぎるのでデッキ構築の上手さよりもコスト25をどれだけ持っているかで差がついてしまいますが、富嶽や特効ルールであればコスト25以外のスキルだけでも十分に通用します。また敵中系以外の系統の強化が進んでいるので環境を気にして無理に別系統を鍛えるよりも得意系統をひたすら磨いたほうが良い様に思います。

 記事内では計略に触れてませんが、攻撃と計略は共存不可です。環境的にはやや攻撃優勢ではありますが、計略特化も選択肢として十分にありだと思います。