武王戦決勝と絆奥義

まえがき

 いつものごとく勝手に考察。最近は簡易的ではありますが公式生放送や公式ブログで当人たちからの解説があると思うので正解はそちらを参照ください。

決勝考察の前提

 お互いに3陣戦略を取ることを想定した場合の考察です。前回までに書いている記事は 戦略選択をするための考察 なので目的が違います。相手も3陣戦略を取ってくると想定した場合のベースとなる戦略は以下です。

予め落とす陣地を決めずに3陣対応。戦局に応じて割合を変動、落とす陣地を判断。

 特別な戦略ではなくて恐らく陣略初期に多くの人が考えたと思われる戦略。でもこれは前回まで最悪手でした。巌流・反魂の無効化と絆奥義によって合戦がそれほどまでに様変わりしてしまったということです。各戦略をぶつけてシミュレートすると解りますが、どのパターンにも共通するのは火力配分というキーワード。1人で考察しても水掛け論になるくらい明確な終わりがないのですが、そのなかでも3陣対応パターンが最も対応幅が広く勝率が高い戦略だと思います。連合全体で3陣に対応出来さえすればいいので、攻撃特化・計略特化・攻計ハイブリッドが混在。これらのバランスの正解は正直わかりません。平野・河岸適性で考えれば特化している方が間違いなく強いですが戦術面では攻計ハイブリッドの担う役割はとても重要です。

 次に合戦の進行をどうするか。落とす陣地を決めないといいつつも完全に臨機応変に行くのは戦略的ではありません。なのでベースとなる攻め方を考えます。

 絆を温存した状態で河岸先行を狙いつつ、相手に平野・山岳どちらも取らせない。河岸も勝敗を決めきるわけではなくて相手に捨てさせない程度の先行。という動きが良いかなと思っていました。最終盤面で1陣優勢2陣均衡の状態を作り込むことでラストの絆の読み合いを有利に運びたいという考えです。先行陣地が多過ぎると無駄撃ちのリスクが高まります。また早々に勝敗を決してしまうと同様のリスクを生みます。つまり先行する程に相手に後出しで火力配分をされて最終的に2陣取られてしまう可能性が高いということです。この状況を避けるために1陣優勢2陣均衡が望ましいと考えていました。

 1陣先行することで単純ですが猿を使う可能性が高くなります。そこが河岸の場合、風に対して猿では勝てません。また裏をかいた火霊に対しても先行得点次第では逃げ切れる可能性も残ります。風で撃ち合いになれば先行得点分有利です。平野と山岳は先行状態で属性負けした場合に逃げ切れる可能性が河岸に比べて低いため読み合いが難しい。そして3陣のじゃんけんを読み切るのは難しいのでその中で最も絆の勝率が高いと思われる河岸を盤石にして残り2陣はじゃんけん勝負。河岸は有効な絆が少ないことから神降ろし連打のデメリットは有りません。仮に風霊が来たら退散して打点を削ればいいです。そして神降ろしであれば攻計ハイブリッドデッキの知勇減少をステ参照で補うことも可能なのでデッキ作り込みの差で引き離すことが可能だと考えられます。

 山岳で先行するメリットは山岳が撃ち合いになれば仕掛け時間の長さがそのまま火力差に繋がりやすいため逃げ切れる可能性が高いという点。デメリットは安全得点圏の判断が難しく、3陣対応のメリットである火力配分を潰してしまう可能性がある事です。前回の記事でも軽く触れていますが山岳の使い方は戦略によって変わります。3陣対応なら山岳は後攻陣地として使うのが良いと考えられます。

 平野に関しては先行そのものが難しい。河岸の様に神懸りを使ってしまうと水霊で返り討ちにあるリスクがあります。その際にソロ防衛で打点を削ったとしても水霊で大きく先行打点を取られるのは避けたいです。絆が見えたら消魔で後追いの水を入れる必要がありますが水霊を見てからだと90s時間不利。見ずに入れるのも囮で風勢等が来たら不利。敢えて水霊を月で抑えた後に火霊を投入して水霊読みの風勢を誘って潰す選択もありますが、水と火の火力差を考えると追いつける可能性も低く、更にラストの絆から火霊を無くしてしまうとじゃんけんの読み合いで不利になってしまうので悪手となります。

 そうなると河岸で先行状態を作るのが良さそう。河岸主体でローテを回して状況をみて火力調整。火力を使い切らなくてもラスト山岳に落とせるので無理矢理使い切る必要もありません。平野・山岳もラストまで均衡させるのが狙いなら各陣地に軍師をおいて判断をして貰うことも可能。最終的には平野・山岳のじゃんけん次第なのですが、あいこ以上の陣地が1つでもあればいいので勝率が最も高いんじゃないかなという戦略です。

 今回は仮想敵が浮かばなかったのでローテや班分けは未考察でここまで。何度も書いていますが中途半端に3陣対応すると2陣特化に負ける可能性が高いため多くの連合では2陣特化の方が有効だと思います。常夏防衛は2陣特化でラストまで捨て陣地の可能性を残すことを前提とした戦術ですが、3陣対応であれば不要です。

決勝振り返り&考察

 開幕から両者奥義無し。最強火力と思われるパンティに鼠を有効に使われてしまうとロジック側は火力差を埋めるのが厳しそう。そのためロジックは相手の絆投入を確認してから合わせていくしかありません。パンティもなるべく鼠で先行を取りたい筈ですが可能であれば安全に出したいので様子見。睨み合いの末、パンティ先出しで以下の対面。

  • パンティ vs ロジック
  • 平野:鼠 vs 水勢
  • 山岳:水勢 vs 鯉
  • 河岸:水鯉 vs 電光→鼠

 パンティの戦略が2陣特化なら山岳に鼠を置いて一気に稼ぐ可能性もあるので山岳ノーマークは避けたい。3陣戦略なら可能性は高いのは平野or河岸。ロジックは河岸に鼠が来れば後追いで追いつき、平野に来たら水で無効化という選択。結果は平野の鼠を無効化して牽制火力を大きく削ります。そしてロジックの鼠に対してパンティは神降ろし。破城を置いて抑えるかなと思ったのですが撃ち合いを選択。計略の総火力に自信があり、時間さえかければ追いつけるという判断でしょうか。山岳と平野は以降は膠着状態で河岸はロジックの2,000兆リードから互いに神降ろしを繋いで一進一退。パンティの計略火力が凄まじくて鼠分のポイントじりじりと詰めていきます。準決勝の対絶望戦でもパンティの計略は凄かったです。絶望が山岳に鼠を使い約5,000兆のリードを許すも中盤の暴欲であっという間に詰めていました。5,000兆も取られたら普通の連合は捨てざるを得ないのですがトーナメント級の火力は桁が違いますね。ロジックは後出しの鼠を河岸に置いたことから河岸を主戦場にしているように見えます。この時点でパンティの狙いを予測するのは難しいですが、山岳に鼠を使わなかったので3陣戦略の可能性が高そう。ロジックは後出し対応を徹底していたので河岸を主戦場においた3陣戦略の様に見えます。

 そのまま膠着状態が続きますが火力を見せすぎないことを前提とするならこの状態は納得で、お互いに同じ戦略を選択していると言えそうです。そして終盤にさしかかったところ、ロジックの常夏残り60s強でパンティが平野に蝙蝠を投入。水霊の撃ち合いを誘ったものに見えますがロジックは見てから対処で水霊投入。待機中にロジックが山岳に精神で突き放し。パンティが鏡で返すもロジック1,000兆のリード。ロジックは精神終わりと同タイミング平野で水霊発動も決定的なほどは稼げずパンティも後追いで水。それに対してロジックは月を合わせます。ここでパンティが一気に突き放すかと思ったのですが点数互角。パンティが抑えてラストの読み合い状態を作った可能性もありますが、敢えて水霊を抑えるメリットもそんなにない気がするので単純にロジックの防御が上手かったんだと思います。パンティの水霊中の河岸ではロジック暴欲、対するパンティは神降ろし中ですが逆に点差を広げて1,000兆リード。個人的にはこの五月雨式に起きた攻防が面白かったです。3陣を1人の軍師で見ていたらとてもじゃないですがこの攻防には付いていけないです。タイミングは事前に決めていた可能性はありますが恐らくロジックもパンティも各陣地に指揮担当を置いていたんじゃないでしょうか。また時間的にも最終絆直前に突き放しをできる最後のタイミング。このタイミングで水霊で大きく先行できれば一気に合戦の流れが傾きそうな場面。水霊に関しては消費火力の読みが難しく、火力の読み合いで不利になりません。ここまで陣地状況は完全に互角でそのままラスト3陣絆勝負。

  • パンティ vs ロジック
  • 平野:火霊 vs 狸
  • 山岳:猿 vs 風霊
  • 河岸:風霊 vs 猿

 パンティはここにきて素直な配置。対するロジックは河岸で火を読んだ配置。結果は平野と河岸で相性勝ちしたパンティがそのまま勝利。

天一振り返り

  • 賢王:遊撃・兵法ルール。絆環境黎明期。直前の神降ろし追加によって計略最有力。絆奥義の与える影響はまだ小さく、計略戦略の作り込みで勝敗が分かれる。
  • 覇王:唯一の前衛5名でオーソドックスな合戦形式。水霊絶天の練度勝負。水霊の攻防で勝敗が分かれる。
  • 皇:全前ルール。水霊の強さは残るもののそれだけでは決まらず。応援無しで限られたステ調整スキルを使ったステの駆け引きで勝敗が分かれる。ただし、じゃんけん勝負の色が強くなり始める。
  • 武王:陣略ルール。絆じゃんけんで勝敗が決まる。

 私感ですが直近の天一の総評。武王戦は戦略の差がなかったからこそじゃんけんで決まってしまったのですが、絆以外での駆け引きが減っており戦略要素が徐々に薄れている印象です。決勝以外では2陣特化と3陣戦略のカードもありましたが、絆じゃんけん次第では2陣特化にも十分勝機があって戦略による絶対的な差は無い様に感じました。

あとがき

 絆奥義は賛否両論ありますが、個人的には反対です。時間をかけた戦略がそれひとつで大きくひっくり返されてしまう現状はどう考えても問題だと思います。

 仕組みそのものよりもバランスに問題があると思っています。絆奥義のじゃんけんは完全な運ではありません。そこに至る道筋や相手の思考を読み取って選択するであろう手を予測して勝率を上げることはできると思います。絆奥義以外の時間が無駄だとも思いません。でも相手の心理を完全に読み取れるはずもないので運であることも否めません。相性に関しても例えば啄木鳥と葵のような関係も絆以前から既に存在していましたので問題ではありません。効果を打ち消す点についても四面と同じ。格上を倒すのに有効な手段の一つであることは認めますが、反対に格上との差をより広げている側面もあります。

 絆奥義の問題はそもそもの効果が強過ぎる事に更に上乗せして相性で生じる差が大き過ぎる点です。ひと言で言えばやり過ぎです。スキル効果がインフレしている現環境で数秒でもこの状態が続くのは致命的。結果、戦略の差を積み上げることよりも絆じゃんけんで勝つことの方が重要になってしまっています。実際、今回の陣略においては陣地特性よりも絆相性が与える影響が大きかったように感じます。平野で計略スキルがランクインするなんて陣地特性だけを見れば考えられないですし、河岸に火霊の可能性を考慮せざるを得ない状況はまさに絆環境そのもの。陣地特性に拘り過ぎて視野を狭めたと言えば確かにその通りですが、天一はそれぞれのルール特性に沿って競い合うイベントだと思うのでルール特性を絆奥義が越えてしまうのはなんだか違う気がします。