天一・覇 トーナメント戦略考察

まえがき

 logicの皆様、覇天おめでとうございます。最近のトーナメントはどの連合も均衡していて予想が難しいです。全戦観戦した訳ではないのですが、恐らくどの連合も戦略軸は同じだと予想します。いつもは合戦結果から考察していますが、今回はルールからの考察。と言っても観戦してしまったので多少影響を受けている考察になると思います。戦況履歴は未確認。前提条件で考察内容は変わってきますが、トーナメント進出を狙える圏内にいるつもりで考察してみます。

logicの鬼謀

 戦略考察の前に恐らく今回の天一のハイライト。ラスト鬼謀を消してからの狸について少し考察。恐らく初見殺しを狙ったものだと思いますが、とても理にかなっていると思います。一言で言えば絆じゃんけんを有利に進めるために相手の絆を限定させる、という点を綺麗に実践。

 まず雲で時間ずらしを狙い、相手も雲でしたがその後の星vs常夏でずれたタイミングで先行水霊投入。この時点で先行逃げ切りを計っていることが予想されます。その後の防衛も不落、月、精神、確固と徹底した防衛奥義。各奥義の防衛に関しては後述の考察で書くのでここでは省略。InitaRiseも後追いの水霊を狙いますがlogicの防御が上手い。その後のInitaRiseの下剋上は月を上手く躱したのですが、logic側にすれば背水が来たら月で抑え、神懸りや下剋上で月を躱されても、精神→火霊で再度先行絆を使えるので何が来ても問題ではなかったと思います。両軍共に水霊→火霊の流れで絆を使われていましたがラストじゃんけんで不利にならないようにする為には他に選択肢がありません。そして得点リードのまま終盤。InitaRiseの神懸りに対してlogicは鬼謀。あそこの鬼謀は待機の長さから殆どの人が予測していたと思います。

 この鬼謀を敢えて読ませているのがポイント。この時点でInitaRiseが使える奥義は猪、猿、狸、蝙蝠。蝙蝠は除外。猪は鬼謀を残されるとまず追いつけない。猪で勝てるとしたら鬼謀を消して狸を入れて来た場合、でも時間帯的に重なる時間は長くなさそうなので抜けるか微妙。そうなると猿か狸の二択。鬼謀なら猿で抜ける。でもそれを解ったうえで消されて狸が来るとやはり厳しい。特に猿は大きく突き放すことが難しいのでラスト数秒でも重なると負ける可能性が高い。狸だと鬼謀が残ると厳しく、猿ほど抜ける確証が持てない。鬼謀を消す場合、猿が最も選択されそうな場面で猪はない、先行突き放しを狙っている時点で猿でのシーソーは考え難いので狸の撃ち合いが濃厚。でもリードされた状態で狸の撃ち合いをしても勝てる可能性はそれほど高くない。あの場でぱっと考えついたのはこんな感じ、実際私もあの場面なら猿か狸の二択で猿を選択したと思います。基本的には鬼謀が残る前提で考えると猪は選択できません。そうなると猿か狸です。最上位連合の火力見積もりができないので判断が難しいですが、消される確証もないので鬼謀vs狸で何とか追いつけそうなら狸、そうでないなら猿。という選択をせざるを得ない状況に感じました。

 logicは消すタイミングも上手かったです。残り110s弱で消魔発動。待機90sなので発動20s+延長ですが、先述の通り猿なら十分に捲り返せます。InitaRise側にすればあの場面は鬼謀に対する猿を選択する可能性が最も高いです。というかあの場面で消される可能性を考慮したとしても猪や狸を選ぶのは難しいです。恐らく猿が選択される可能性が一番高い前提で仮に他の奥義が来ても大丈夫そうな時間を狙ったんだと思います。消すタイミングが早すぎると猿誘いが露見してしまうので手堅く行くなら絆投入確認消魔からの後追い絆ですが、待ちすぎると絆そのものが発動しません。ラスト160sに絆投入で延長20sカバー。これをみてから消魔だと最悪絆が間に合いません。いずれにしても鬼謀の可能性を強く印象付けられた時点でlogicの術中だった気がします。

 正直に言って、絆奥義登場以降、こんなに高度な奥義の読み合いを見たのは初めてでした。InitaRise側も悪手は無く、純粋にlogicの練度の高さと戦略が上手くはまった結果だと思います。観戦していてとても楽しかったです。考察よりもこちらが本文っぽくなってしまいましたが、以下考察本文。

戦略軸

 序盤コンボ積みから中盤以降に絆じゃんけん避けて打点取り合い。前衛は攻撃特化、勇猛・敵中・回数の3系統ベース、回数が3系統が育ってなければ次点に与退or天破で補填する。どちらかを選べるなら与退。後衛は前衛に合わせて攻撃特化。ブレーキ値変動スキルをフル活用するために上げ下げに偏った班分けはせず、全員で上げ下げを回す。相手の妨害はHP妨害と下げを両立できる投石中心。餌がきついので代替スキルは投擲、次点に鉄砲系。

 logicの取った戦略は先行逃げ切りですが、現環境での先行逃げ切りは相当難しいです。特に最上位クラスになると絆以外でもしっかりと抑えていく必要があると思うので、ちょっと想像がつかないです。

前衛デッキ

 戦略のポイントになりそうな部分を抜粋。

  • 系統優先順は勇猛>敵中>回数 ※補助スキルも準ずる
  • 継承優先順は謄飛>雄飛>郡飛>修羅>快刀
  • 極光は積まない ※HP1は連携で作る、極突連携よりもマウント力低下が問題
  • 豪勇・悟道・常行は各2種積み
  • 影は90%程度でOK ※山場の闇鶴サポート前提、防衛で寝ることも考慮
  • 猛追も90%程度 ※倒す、よりも発動高くしてHP削る意図
  • 宵闇200程度 ※基本行動
  • 天破匠20程度 ※嵐衝で稼ぐならもっとあってもOK、ただし宵闇下限は120
  • 焼尽は継承ではなく保有カードを入れる ※前枠を圧迫したくない
  • ダメ減は全て積む ※Lv30を各1個積み。数珠無ければLv20を2個積み
  • 応援カット同様 ※ただし、不昧は継承できないので、金剛と平身のみでよい

後衛デッキ

 そういえば後衛は専門外なので(言い訳)あまり深く考えたことないです。というか良くわかってません。なので戦略軸に書いてある通り。デッキ構築は戦略担当のイメージを共有してから、それぞれの有識者で意見交換していくのが良いですね。

  • 天上花・曼珠沙華は外す
  • 投石多め、次点に投擲、その次に鉄砲 ※宵闇と連携して妨害するので手数重視
  • 闇鶴は30発程度
  • 確固対策の不動や宿怨はあるだけ積む

戦略説明

 まず絆登場初期に比べて火力を取れる絆が多い為、先行逃げ切りは非常に難しい。そのため終盤勝負を基本としますが、絆じゃんけんで1敗すると以降の絆の読み合いで不利になるだけでなく、残りのじゃんけんを避けられるとリカバリがーが難しくなると考えられるので、基本的には絆をずらして純粋な火力(連携力)勝負に持ち込みます。先に絆を出すことができれば相手の絆に対して防衛奥義を重ねることができる分やや有利。時間は雲・星・冲天のどれかでずらす。また、ラストじゃんけんの場面になった際に読み合い不利になるのを避けるため、最終絆で必ず3属性を残します。先行火力で使えるのは火霊と水霊。ずらす前提で残るのは猪、猿、狸(隼)。この時点で鯉は無い、計略も撃たないので風霊は無い、相手が鯉を使ってきそうなら蝙蝠、使われない場合に無意味なので安定を取るなら狸や隼で鯉に隼を当ててもいいので選択絆は火霊・水霊・狸・猪・猿・隼。

 最山場は火霊。水霊の方が最高打点は上ですが、巌流無効なので最大よりも総火力重視。精度が高く試行回数を多くしやすい勇猛系を軸に稼ぐ方針。敵中系の試行回数は最低限に留める。動数ルールもあるので次点で回数系。修羅や快刀はしっかりと積めば雄飛に負けない火力が出せる。特に猿で追いつく場合も考慮してHP依存系以外でも稼げるように意識。第3系統は回数>与退≒天破。被退は鋭刃の仕様変更によって微妙。紫黒や甦神は強力ですが、勇猛ベースに稼ぐので方針に合わない。総火力の面で考えると修羅よりも伝家の宝刀の方が保有カードが多く稼げそうですが、退却を稼ぐ場合は乱撃が必要。hit数の振れや回転率を考慮すると宵闇主軸に手数を稼ぎ、かつ相手の回数を削る方が良さそう。天破は与退同様に宵闇が減る。与退、天破は宵闇行動を削る以上に火力を出せるなら有用に思えますが、防御力が下がってしまうので基本は回数でどうしても回数が弱い場合に選択。ちなみに決勝では互いの雲に対して計略による連舞積みではなく攻撃回数重視を貫いていました。コンボ回数よりも回数補正のほうが効果が大きいという判断だと思います。また、相手が輪転系を積んでいる場合に計略を打つと相手の火力を上げてしまい、更にこちらは九尾等の補正も下がるので、攻撃特化で行く場合はここで連舞を積むメリットは殆どありません。

 連携行動は投石の充実具合で変わります。投石充実なら防御人数を減らして上げと闇鶴サポートを増やせますが、投石が少ないと下げとHP妨害に分かれるのでその分をどこかで補填。上げを減らすと火力がでなくなるので、その場合は闇鶴を減らす代わりに前衛に一心役を設けることになると思います。

 絆を先行でずらして入れて相手の絆には不落・確固。通常奥義には精神・月・破城を合わせる。投石中心に妨害できるなら奥義による下げ効果倍率は影響しないので不要。と思ったのですが投石の説明文をみたら効果説明文が変わってますね、以前は影響しないと明示されていた気がしますが、文章変更後も効果が同じなのかは不明。バランス調整で見た記憶がないので説明の書き方が変わっただけだと思います(多分)。投石中心に防衛するなら味方の防御力を上げたほうが良いです。また相手が合わせでとる動きを徹底している場合、合わせに下げが丁度良く当たらないと効果が薄く安定しないのに対して不落や確固で確実に味方のステを高くすることで被ダメを安定的に抑えられます。不落や確固への対抗策は不動による防御下げ。ただし、連携無しで乱打してくる相手なら月や破城で十分です。また投石の数が少ない場合も同様。最上位連合以外が不落や確固で防衛しようとしても連携とスキルが揃っていないと思ったほど守れないと思います。精神が防衛奥義として使えるのは似た理由で、陰陽と双蛇で上げ下げを同時にこなせる上に味方への上げ効果が上がるのでステを高く保ちやすいです。

あとがき

 今回の戦略のキーは最大ではなく総火力。最上位の戦略は真似はできませんが、参考になる部分はあります。特にHP依存系の共存は絆登場前はタブーでしたが、絆登場以降は有用。それに気付いている人は徐々に両系統をしっかりとデッキに組み込んでいます。運営の情報公開でも覚悟・勇烈の汎用性が明らかになったので、今後HP依存系の共存は広まっていきそうです。ただし、これもいつかの記事で書きましたが、火霊と水霊を両方使える事が前提になります。戦略は前提条件によって大きく変わるので、何かを参考にする場合は、参考にした戦略と比較して何が足りないのか、それが足りないとどうなるのかを考えると、自分の環境に適した戦略に落とし込めると思います。